Prospective

募集

大学院入試・研究室配属を考えている皆さんへ

研究室は、多くの人にとって「学生生活の総仕上げ」であり、同時に「社会人としての出発点」でもあります。講義や実習で“正解のある課題”を学ぶ時間から、研究室では、自分自身の問いを立て、手を動かし、データを見て、考え、言葉にし、他者と共有しながら「まだ誰も知らないこと」に迫っていきます。当然、そこには試行錯誤もあります。しかし、その試行錯誤こそが研究の醍醐味であり、成長の源泉です。

超域生命科学分野(檜垣研究室)は、植物細胞を主な対象として、顕微鏡イメージングによる観察を基盤に、画像解析・定量化を用いて生命現象を定量的かつ検証可能な形で記述し、その背後にある原理の理解を目指す研究室です。観察から解析、発表に至るまでの一連の研究プロセスを体系的に学ぶことができます。テーマに応じて、学内外の研究者と連携する機会もあります。この方針や研究の進め方に関心を持っていただければ、学部での卒業研究を通じて研究の面白さに触れた方はもちろん、実験中心で学んできた方、データ解析に挑戦してみたい方など、多様な学生を歓迎します。大学院の研究室は教員のための場所ではなく、学生が力を伸ばす場所です。

一方で、研究を進める上で研究倫理やデータ管理、報告・連絡・相談、期限を守ることといった基本を身につけることは非常に重要です。これらは研究を安全に進めるためだけでなく、社会に出てからも確実に役立つ「社会人としての基礎体力」になります。当研究室では、この基盤を大切にしながら、皆さんが着実に力を伸ばせるよう伴走します。ぜひ一緒に研究を楽しみましょう。

超域生命科学分野〈檜垣研究室〉で身につくこと

当研究室での研究活動を通して、研究に関する専門知識はもちろん、皆さんが社会に出てからも役に立つ次の技能を身につけることができます。

  • 自然科学的な思考法(計画を立案すること、結果を考察すること)
  • 実験の技能と経験(実験を遂行して結果を得ること)
  • 事実や考えを人に正確に伝える能力(成果を発表すること)

研究職に進む人だけでなく、どの進路に進んでも、これらの技能は必ず皆さん自身を助けることになります。檜垣研究室を、皆さん自身のスキルアップの場としてフル活用してください。

超域生命科学分野〈檜垣研究室〉はこんな人に向いています

1. 細胞レベルの現象を「観る」ことが好きな人

私たちは、画像を通して生物を理解する『ビジュアル系』の研究室です。蛍光イメージングで、暗闇の中で光り輝く細胞骨格やオルガネラがダイナミックに活動する瞬間を目の当たりにすると、生命の神秘に触れたような気持ちになるかもしれません。花火やイルミネーション、プラネタリウムが好きな人、あるいは絵画・映画・アニメなど映像表現が好きな人は、私たちの研究室になじみやすいかもしれません。

2. 生物を「定量的に」理解したい人

当研究室は、顕微鏡で細胞をただ眺めて終わりにしません。顕微鏡画像解析によって、形、向き、動き、密度、秩序などの特徴を定量的に測り、再現性よく議論できる形にします。解析では、安易に流行の技術を使用するのではなく、自身の生物学的な問いに対して、どの解析が真に役立つのかを考える姿勢が大事です。「コンピュータは少し苦手」という人でも、興味があれば全く問題ありません。必要なところから一緒に積み上げましょう。

3. 研究活動に腰を据えて取り組みたい人

当研究室では、学生が主体となって研究を進め、発表の機会を多く設けています。情報の整理と改善を重ね、十分に研究を楽しむことができれば、学会発表や論文という形で成果が残ります。最初から自信がある必要はありません。丁寧に研究生活を送っていけば、表面的な面白さではなく、研究の本当の面白さがわかってくるはずです。もちろん、博士課程への進学の相談や、進学後の支援も充実しています。

4. プレゼンテーション能力を鍛えたい人

当研究室はプレゼン能力の向上に力を入れています。研究内容そのものだけでなく、図の作り方、話の組み立て方、質疑応答の受け方まで、しっかり練習する場を設けます。人前で話すのが得意でなくても大丈夫です。コツをつかんで練習すれば、確実に上達します。事実や意見を他者に正確に伝える能力は、どのような職種に就いても、必ず皆さん自身を助けることになります。

大学院教育としての「超域生命科学」

超域生命科学分野は、東京大学大学院新領域創成科学研究科の理念である「学融合」を中核の考え方として設けられた研究室です。私たちの考える「超域」は、単にいくつかの分野を並べて学ぶ、という意味ではありません。生命現象を本当に理解しようとすると、生命科学だけではなく、情報、数理、物理、化学、画像工学など、異なる分野の考え方が交わる場所で、重要な問いが生まれることがあります。単一の分野の言葉や枠組みだけでは説明しきれない現象に出会ったときに、その境界に正面から向き合い、必要な知識や技術を取り込みながら理解を進めていく。これが、超域生命科学の基本姿勢です。

超域生命科学は、研究の進め方であると同時に、大学院教育の考え方でもあります。本研究室では、学生一人ひとりが自分で問いを立て、観察・解析・検証を行き来しながら、必要に応じて他分野の知識や技術も取り入れ、自分の研究を組み立てて実際に進めていく過程を大切にします。専門をしっかり深めつつ、専門の枠にとらわれずに考える力も養い、将来にわたって自分の力で研究を展開できる研究者へ成長していくことを目指しています。

研究のはじめ方

研究テーマの決め方

教員から複数のテーマ案を提示します。そこから興味を持てるものを選び、十分に相談した上で最終決定します。もちろん、皆さん自身のアイデアも歓迎します。大切にしたいのは、「自分が結果を知るのがワクワクする問い」を選ぶことです。皆さんの状況や進路希望も含めて、できる限り尊重します。

実験・解析の始め方

最初は、教員や先輩が基本をしっかり伝えます。試料の扱い、顕微鏡の使い方、データの管理、解析の入口まで、段階を踏んで進めます。わからないことは遠慮なく聞いてください。研究に限った話ではありませんが、早い段階で「聞けること」「共有できること」は、自分が成長するためにとても大事なことです。また、研究は共同作業でもあります。実験記録の整理、データの共有、進捗の報告、期限の遵守といった基本を守ることは何より重要です。

主な研究室活動

個別相談

月1回を目安に、教員と1対1で話す機会を設けます。研究の報告や悩みだけでなく、進路や生活に関する相談など、何でも構いません。表に出にくい困りごとほど研究の質に影響します。早めに相談して、一緒に整理しましょう。

論文紹介

英語原著論文を読み、要旨、図、背景、結論を整理して紹介します。発表技術を磨く機会であると同時に、研究の型を学ぶ訓練でもあります。質疑応答では参加者全員が質問を出します。質問する前提で聞くと、論文の読み方が変わります。

研究スタート講習会

研究を始めるにあたり、ラボノートの書き方、研究倫理、データ管理の基本を共有します。研究は自由ですが、自由であるためには守るべき作法があります。最初にここを丁寧に押さえます。

進捗報告会

自身の研究の進捗を、背景・方法・結果・議論・今後の計画としてまとめて発表します。研究をまとめることは、研究を理解することです。発表は「成果の報告」であると同時に、研究室メンバーからの意見を聞いて、「研究を前に進める作業」でもあります。

研究ディスカッション(随時)

進捗に応じて随時ディスカッションします。教員から声をかけることもありますし、学生からの申し出も大歓迎です。実際のデータを一緒に見ながら、解釈、次の実験計画、解析の方針を検討します。成果ができていない時こそ、ディスカッションをして一緒に考えましょう。教員は皆さんの研究を伴走します。

学会発表・発表練習会

一定の成果が得られたら、学会発表を推奨します。発表形式や学会選びは相談して決めますが、学生本人の意向を尊重します。はじめての発表でも、事前準備をすれば必ず乗り越えられます。研究室内でリハーサルを行い、内容と表現を磨きます(発表内容の根拠となるデータ整理、図の作成、説明の一貫性など、研究者として必要な基本を丁寧に確認します)。

ラボミーティング(論文紹介・進捗報告)

研究室メンバー全員で集まり、論文紹介や進捗報告を行います。研究を前に進めるために必要な情報を共有し、考え方や背景知識をそろえる機会として位置づけています。また、科学プレゼンテーション技能を磨く実践の場として機能します。

学年末研究会(振り返り)

修士論文発表会の後に、良かった点・改善点を振り返り、科学プレゼンテーションの技術について研究室全員で議論します。卒業や進学を控えた学生にとっては節目の機会にもなります。同級生や自身の発表を振り返り、次の段階に向けたディスカッションを行います。

柏キャンパスで学ぶことの意味

柏キャンパスは都心から少し距離がありますが、その分、落ち着いた環境で研究に向き合いやすいキャンパスです。先端生命科学専攻には全国各地から多様な背景をもつ学生が集まり、同期との距離も自然と近くなります。研究室の枠を越えて、授業やセミナー、日々の交流の中で互いの研究や考え方に触れながら学べるのは、大学院ならではの大きな魅力です。

大学院で得られる価値は、知識や技術だけではありません。柏で出会う同期や先輩、教員とのつながりは、将来、研究を進めるときにも、進路を考えるときにも、必ず支えになります。これまでの大学や所属を越えて広がる人的ネットワークは、皆さんにとって長い時間にわたり役立つ「一生の財産」です。「学部でやってきたことを一段上のレベルで深めたい」「卒研の延長ではなく、より大きな問いに取り組みたい」人にとって、柏の大学院での学びは大きいはずです。

最後に

研究室選びは、テーマだけでなく「研究の進め方」や「研究室の文化」が大切です。超域生命科学分野(檜垣研究室)が大事にしているのは、観察を大切にし、データに誠実であり、必要な共有と相談を重ね、言葉と図で伝える力を鍛え、そして何より、研究そのものを楽しむことです。皆さんが「研究って面白いかも」と心から思える時間をつくることが、教員としての私の役割だと考えています。超域生命科学分野(檜垣研究室)に興味のある方は、遠慮なく声をかけてください。